胸が締め付けられる
胸が締め付けられる症状は、心臓由来の症状で緊急性を要する可能性があります。特に冷や汗を伴って30分以上続く場合は心筋梗塞を発症している可能性や大動脈解離(大動脈が裂ける病気)を発症している可能性がありますので躊躇すること無く救急車を要請してください。症状が30分以内で治まっても早めに受診しましょう。特に1日に複数回、胸の締めつけ感を自覚する場合は不安定狭心症といって心筋梗塞を発症しかけている可能性がありますので早めにご相談ください。
心臓以外でも肺や食道の病気からくる胸の痛みもあります。ご自分で大丈夫だと判断せずに早めの受診を心がけましょう。
ドキドキする不快感
ドキドキする不快感を動悸(どうき)といいます。動悸の原因として最も多いのは不整脈です。不整脈にも様々な種類があり、放置可能なものから緊急を要する不整脈まで様々です。不整脈の診断は心電図の記録を行う事が重要です。動悸時に心電図が行えれば良いのですが、来院した時には治まっている事も少なくなく、その場合は24時間記録出来るホルター心電図を行い診断します。最近ではスマートウォッチで心電図を記録することもでき診断に役立ちますので、心電図記録が出来るスマートウォッチをお持ちの方は是非記録をして診察時にお見せください。
労作時に動悸を自覚される方は狭心症や心不全の可能性もありますので早めにご相談ください。
手足や顔のむくみ(浮腫)がひどい
むくみとは足やすねなどを指で圧迫すると痕がのこり、皮下組織に水が溜まった状態をいい医学用語で浮腫(ふしゅ)といいます。浮腫は重力の関係で体の下の方に溜まりやすく足に起こりやすいですが、顔や背中にでることもあります。浮腫には両足、顔面に出現する全身性浮腫や片足だけに出現する限局性浮腫があります。
全身性浮腫には心不全、腎不全、肝不全などの内臓疾患由来の浮腫や甲状腺機能異常や栄養状態悪化に伴う代謝性浮腫があります。限局性浮腫には足の静脈に血栓ができ、下肢の血液が心臓に戻る事ができずに浮腫が生じる深部静脈血栓症や、がん治療や股関節治療などでリンパ節を切除した後に生じるリンパ浮腫などがあります。また、口唇やまぶたに限局して生じる血管浮腫などもあり様々です。
このようにむくみといっても様々な病態があり、原因を探って病態に合った治療をすることが大事ですので、むくみでお困りの方は一度ご相談ください。
急激に体重増加
体重増加には病的な体重増加と生理的な体重増加があります。病的な体重増加の主な原因は浮腫です。浮腫を来す
病気は様々であり、原因を特定する事が大事です(むくみの項をご参照下さい)。
その他、食べすぎなどによる単純性肥満がありますが、高血圧、脂質異常症、糖尿病などを合併している可能性もあり注意を要します。
受診時に教えてほしいことは、体重増加に伴い息切れなどの付随する症状が出てきたか、どれくらいの期間で何kg増加したか、食生活などを教えて頂けると診断の一助となります。
息切れや呼吸困難がある
息切れや呼吸困難は緊急性を要することがありますので注意が必要です。安静時に呼吸困難を自覚したり、突然息切れが出現したときは急速に病状が進行する事がありますので救急車を呼ぶ事も重要です。鑑別としては急性心筋梗塞、肺塞栓症、急性心不全、気胸など生命に関わる病気もあります。
ここでは労作時の息切れについてお話をします。具体的にはじっとしていると症状は無いけど、動くと息が上がって、今まで出来ていた事がきつくて出来なくなったなどの症状です。これらの症状は心臓由来、肺由来、貧血由来、その他に分けて鑑別を行って行きます。
心臓由来であれば心不全や狭心症が考えられ、レントゲン、心電図などを行い必要に応じ心エコーまで行います。肺由来であれば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、間質性肺炎などが考えられ、必要に応じて呼吸器内科医と連携を取ります。貧血も鉄欠乏や消化管出血、溶血性など様々な病態がありますのでこれらを鑑別し治療方針を立てていきます。
気を失いそうになる
目の前が真っ暗になったり、気を失いそうな症状を「前失神」といい、気絶したり、完全に気を失い気づいたら倒れていたりすることを「失神」といいます。失神は多くの場合一過性で数分後には何事もなかったかのように目を覚ますことから、病院を受診されない方も少なくありません。しかし失神の中には命に関わるような危険な失神があり、そのほとんどが心臓由来である心原性失神です。
心原性失神で代表的なものは不整脈による失神です。不整脈には頻脈性不整脈(心拍数が200以上になる不整脈)と徐脈性不整脈(心拍数が30以下になったり10秒以上心停止する場合)がありどちらも失神を引き起こします。原因としては、心筋症や心筋梗塞など心臓に器質的疾患がある場合や電解質異常や薬剤性など別の原因がある場合がありますので系統的な鑑別が必要です。治療は頻脈性不整脈であれば頻脈の元を焼灼するカテーテルアブレーションや失神する前に頻脈を止める植え込み型除細動器があります。徐脈で失神を起こす場合はペースメーカの植え込みが必要ですが、薬剤により徐脈を起こしている事があり薬剤の中止により改善する事もあります。
不整脈以外の心原性失神では心臓弁膜症や心筋症などが原因となる事もあり心エコー図検査で鑑別を行います。
心原性以外では自律神経性の失神や起立性低血圧、てんかんなどがあります。意識を失ったりした事がある方は必ず医療機関を受診しましょう。
健診で心電図異常を指摘
心電図は心臓の状態を映し出す鑑のような検査で様々な事がわかります。心臓の病気が隠れている可能性がありますので、心電図異常を指摘され受診を勧められた場合はご相談ください。当院初診の方は心電図の再検に加え、胸部レントゲンと採血をさせて頂き、必要に応じて心エコーまで行います。必要に応じて高次医療機関との連携を図りますので安心して受診してください。
歩くと足が痛くなる
以前は平気で歩けた距離が歩けなくなってきたという事はありませんか?その症状、閉塞性動脈硬化症かもしれません。閉塞性動脈硬化症は足の動脈が動脈硬化により血流が悪くなると、狭い方の足が痛くなったり冷たくなったりする病気です。放置しておくと怪我などを契機に感染から壊死に至る場合もあります。特に糖尿病をお持ちの方は注意が必要です。腰部脊柱管狭窄症などの整形外科疾患でも似たような症状を呈する事があります。
いびきをかく、昼間眠い
昼間の眠気や家族からのいびきの指摘は無いでしょうか?その症状、睡眠時無呼吸症候群(SAS)かもしれません。SASは日中の眠気や身体のだるさの原因となるだけではなく、高血圧、脳卒中、心臓病など様々な病気を引き起こす事が知られています。原因は肥満や扁桃肥大など気道が狭くなることにより生じる閉塞性SASや呼吸を調整する呼吸中枢が原因となる中枢性SASがあります。中枢型は心不全との関与も指摘されています。
検査は外来で可能な簡易検査(簡易PSG)と入院して行う脳波を含めた精密検査(ポリソムノグラフィ)があり、睡眠中の無呼吸回数や酸素飽和度の低下を検査して重症度を評価します。当院では簡易PSGが可能です。検査で一定の基準以上の無呼吸を認めた場合はCPAP療法の保険適応となりますので、いびきや昼間の眠気がある方は一度ご相談ください。